2012年1月13日金曜日

沼内さんインタビュー映像

岩上氏の沼内さんインタビュー映像を一通り見て、私が専門としている歯科の部分についていくつか気になった事と感想をメモ代わりに。

1.右上の67番の状態が映像に表れないので分からぬ部分あるが、右下は456に入っていた3本のブリッジが脱離した可能性あり。(つまり「歯ごと抜けた」のではなく、「被せものがとれた」だけの可能性。←口腔内は患者さんご自身から直視出来ない場所だけに、こうした勘違いは歯科診療の現場でも非常に多い事。)

2.そうした補綴物の脱離前には、それらが浮いた状態になり、噛み合わせが高くなる事が多く、それによって痛みが出る事もありうる。

3.左上3に残根あり。神経はとってありそうだが、歯周病もみられ、根の先に膿がたまる事が多く、左側の疼痛の一因として考えられる。

4.左下234歯茎部に大きなカリエス(虫歯)あり。これも疼痛の一因になりうる。

5.左下1が横に破損。神経が残っている可能性あり、疼痛の一因になりうる。

6.全体に歯周病の進行が見られ、かなり動揺も出ていると予想される。

7.手からの出血が止まらない件、歯科医院で抜歯を行った際にはそのような状況はなかった既往、インタビュー時に写された年末の血液検査の血小板数(PLT)は「23.2」とあり、正常値である事から、少なくとも血液に異常が生じているわけではない、と推察できる。

8.総合的には適切な診断と説明、治療によって、多くの症状を緩和させられる状態であり、取材中に内科医との会話として出て来る「全部抜いて入れ歯に」などという乱暴な話ではまったくない。

*放射能の影響云々以前に、こうした病変についてしっかりした診断と処置がなされるべきだが、現在の患者さんの状態からすると、治療そのものより、インフォームドコンセントの成立がやや難しいと思われる。
そんな患者さんの「疑心暗鬼」を生む原因が原発であり、事故後の政府の対応のマズさ、ジャーナリズムの不毛さ等々である事は間違いない事実。そういう意味でとても暗い気持ちになるし、沼内さん含め、現地の方々の苦労が忍ばれる。

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